Pure expectations hypothesis
純粋期待仮説(Pure expectations hypothesis)とは、将来の金利に関する期待によって、金利の期間構造が決定するという仮説である。
例えば、将来の金利が上昇すると投資家が考えていたとすると、現在から1年先のスポット・レート(st,1)と1年後の1年先のスポット・レートの期待値(Et (st+1,1))を比べると、1年後の1年先のスポット・レートのほうが大きくなる。無裁定であるならば、1年後の1年先のスポット・レートは、現時点での1年後から2年後までのフォワード・レート(ft,1,2)であるといえる。そのため、現時点の現在から2年後までのスポット・レート(st,2)は、現在から1年先のスポット・レートよりも高くなり、イールドカーブは右上がりの形状となる。
https://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/1892?site_domain=default
Liquidity Premium Hypothesis
流動性プレミアム仮説(Liquidity Premium Hypothesis)とは、投資家の流動性に対する選好から、金利の期間構造が右上がり(順イールド)になるという仮説である。
第1に、投資期間が長くなるほど、将来の金利の変動によるリスクは大きくなることから、長期債券は短期債券に比べて、価格変動リスクが大きくなる。第2に、長期債券は償還までの期間が長く、流動性リスクが大きくなる。長期債券を市場で売却することも可能であるが、買い手を見つけることが難しい場合や、不利な条件で取引を行わなければならない場合があるため、流動性を求める投資家は、このようなリスクを回避しようとする。流動性プレミアムとは、このような価格変動リスクや流動性リスクに対して発生するプレミアムのことである。
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Market Segmentation Hypothesis
市場分断仮説(Market Segmentation Hypothesis)とは、金利の期間構造に対する仮説の1つである。投資家や資金調達を行う企業などによって投資/調達期間の選好が異なるため、各残存期間の債券ごとに市場が分断、金利は各残存期間の債券の需給に応じて独立して決定されると仮定される。イールド・カーブの形状は、それぞれの残存期間における需給関係で決定される。
債券に投資する金融機関は業務内容や性質が異なり、債券の償還期間に対して選好が異なるので、それぞれ満期の異なる債券に投資する。たとえば、商業銀行は短期債券を選好し、生命保険会社は長期債券を選好する傾向にある。このとき、特定の残存期間の債券の価格が他の満期の債券のそれより高くなり、裁定機会が存在するとしても、特定の残存期間を選好する金融機関は裁定取引を行わない。そのため、長期債券と短期債券の利回りは、それぞれの市場の需給関係によって決まることが考えられる。短期債券の需要が長期債券の需要よりも強いのであれば、イールド・カーブの形状は順イールドとなる。
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Preferred Habitat Theory
特定期間選好仮説(Preferred Habitat Theory)とは、投資家は特定の期間を選好し、別の期間に投資するには、リスクやコストを補うようなプレミアムを求めることからイールド・カーブの形状を説明する仮説である。
例えば、投資家が短期債を選好する場合、この投資家は長期債にかかわるリスクや取引コスト以上の十分なプレミアムを得られない限り、長期債には投資しない。この場合、イールド・カーブは順イールドとなる。反対に投資家が長期債を選好する場合、この投資家は短期債にかかわるリスクや取引コスト以上の十分なプレミアムを得られない限り、短期債には投資しない。この場合、イールド・カーブは逆イールドとなる。
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